BODYMAKE LABO ボディメイク研究所

重いダンベルがなくても筋肉はつく? 軽い重さで鍛えた研究をまとめると

軽い重さでも、もう上がらなくなるまで繰り返せば、筋肉を大きくする効果(筋肥大)は重い重さと同じくらいという研究があります。持ち上げる力(筋力)の伸びは重い方が上であること、高齢者の研究、自宅での考え方も紹介します。

#筋トレ#負荷#筋肥大#高齢者

記事タイプ
研究を読み解く
研究デザイン
メタ解析(複数の実験の結果をまとめて分析した研究)3本。主に紹介するのは Schoenfeld ら 2017(21件の実験)。補足は Lopez ら 2021(ネットワークメタ解析。28件・747人)と、高齢者を対象にした Csapo ら 2016(15件・448人)
対象者
Schoenfeld 2017 と Lopez 2021 は健康な成人(Lopez は未経験者と経験者の両方を含む)。Csapo 2016 は平均67.8歳の高齢者。Schoenfeld 2017・Lopez 2021 の性別・トレーニング歴の内訳は、要旨からは確認できていない
限界
Schoenfeld 2017 と Lopez 2021 は、すべてのセットを限界まで行った実験だけを集めている。限界の手前で止めた場合や、自分の体重で鍛える方法は調べていない。研究は管理された環境での実験で、自宅で同じことをしたときの安全性は調べていない

重いダンベルやマシンが家にない人や、重いものを持つのが不安な人は、「軽い重さでも筋肉は増えるのか」が気になるはずです。

この記事では、**筋肉を大きくすること(筋肥大)**と、持ち上げる力(筋力)を伸ばすことを分けて書きます。2つは同じではなく、研究でも結果が分かれました。

結論から言うと、軽い重さでも限界まで繰り返せば、筋肉を大きくする効果(筋肥大)は重い重さと同じくらい、という研究が複数あります。ただし、持ち上げる力(筋力)の伸びは、重い重さのほうが上でした。

研究でわかったこと

アメリカのニューヨーク市立大学リーマン校などの研究チームは2017年、軽い重さと重い重さで鍛えた21件の実験の結果をまとめて分析しました。[1] どの実験も、すべてのセット(続けて繰り返す1まとまり)を、もう上がらなくなるまで(限界まで)行っています。対象は主に健康な大人です。

その結果、筋肉を大きくする効果(筋肥大)は、軽い重さ(全力で1回だけ持ち上げられる重さの6割以下)でも、重い重さでも同じくらいでした。違いが出たのは持ち上げる力(筋力)の伸びで、重い重さのほうが上でした。[1]

全力で1回持ち上げられる重さを、自分で試す必要はありません。次の研究が使っている回数の目安で選べます。

2021年には、ブラジルのリオグランデ・ド・スル連邦大学など4か国の研究者が、28件・747人分の実験をまとめました。結論は同じでした。[2] この研究は重さを回数で分けているので、目安にしやすいです。

  • 軽い重さ:16回以上できる
  • 中くらいの重さ:9〜15回で限界になる
  • 重い重さ:8回以下で限界になる

筋肉を大きくする効果(筋肥大)はどの重さでも差がありませんでした。持ち上げる力(筋力)の伸びは、この研究では重い重さだけでなく中くらいの重さでも、軽い重さより上でした。[2]

軽い重さ・中くらいの重さ・重い重さの比較図。もう上がらなくなるまで繰り返した場合、筋肉を大きくする効果(筋肥大)は3つとも同じくらい。持ち上げる力(筋力)は軽い重さでも伸び、中くらいと重い重さではよく伸びる

つまり、限界まで続けるなら、筋肉を大きく(筋肥大)したいときは重さにこだわらなくてよく、持ち上げる力(筋力)を伸ばしたいときは重いほうが有利です。

高齢者でも同じか

高齢者(平均67.8歳・448人)の実験をまとめた研究もあります。オーストリアのインスブルック大学とスペインのカスティーリャ=ラ・マンチャ大学の研究者が、2016年に発表しました。[3]

筋肉を大きくする効果(筋肥大)の差はごくわずかで、持ち上げる力(筋力)の伸びは重い重さ(全力の約8割)のほうがやや上でした。研究者たちは、回数を十分にこなせば、これまで勧められてきたより軽い重さでも、高齢者の筋力はしっかり伸びる可能性があると述べています。[3]

日常でどう考えるか

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人と高齢者に、筋力トレーニングを週2〜3日行うよう勧めています。ダンベルやマシンを使うものだけでなく、腕立て伏せやスクワットのように自分の体重を使うものも、筋トレに含まれるとしています。[4]

同じガイドは、ふだんの生活でかかる以上の負荷で行い、少しずつ高めていくことが大切だとしています。負荷は、重さでも回数でも調整できます。特に体の働きが落ちてきている高齢者は、安全に気を配り、転倒に注意するよう求めています。[4]

重い重さと軽い重さ、どちらを選ぶか

紹介した研究から考えると、重いダンベルがなくても困りません。軽い重さで回数を重ね、もう上がらなくなるところまで続ければ、筋肉を大きくする(筋肥大)方法として十分に使えます。

大事なのは、回数をただ増やすことではなく、最後の数回がきつくなるところまで続けることです。重さと回数をかけた合計が重い重さのときと同じでも、余裕を残して止めれば、研究と同じ条件にはなりません。

回数の比較図。もう上がらなくなるまで続けた場合は最後の数回がきつい回で、研究と同じ条件。余裕を残して止めた場合は回数が多くてもきつい回がない。回数より限界まで続けることが大事

そのうえで、選び方は目的と体の状態で変わります。

  • 時間を短くしたい人:重い重さのほうが、少ない回数で限界に届きます。軽い重さは限界までの回数が多いぶん、時間がかかります
  • 持ち上げる力(筋力)を伸ばしたい人:研究のとおり、重い重さが有利です
  • 60〜70代の人:重い重さは、関節を痛めたりバランスを崩したりする心配が大きくなると考えられます。厚生労働省のガイドも、高齢者には安全への配慮を求めています。目的も、筋肉を大きくする(筋肥大)ことより、立ち上がる・歩くための力を保つことが中心のはずです。軽めの重さでも筋力はしっかり伸びる可能性があるという高齢者の研究からも、軽い重さで回数を重ねる方法が向いています

筋肉から見れば、ダンベルも自分の体重も「持ち上げる重さ」であることに変わりはありません。そう考えると、腕立て伏せやスクワットでも、もう上がらなくなるところまで続ければ、同じ考え方が当てはまるはずです。研究は自分の体重で鍛える方法を調べていないので、ここは筆者の推測です。

無理のない範囲で行ってください。 痛みやめまい、息苦しさがあるときは、すぐに中止してください。立って行う動きは、ふらつきや転倒に気をつけてください。血圧や心臓に不安がある人、持病がある人は、始める前に医師に相談してください。

Summary

  1. 01軽い重さでも、もう上がらなくなるまで繰り返せば、筋肉を大きくする効果(筋肥大)は重い重さと同じくらい。
  2. 02持ち上げる力(筋力)を伸ばしたいなら、重い重さのほうが有利。
  3. 03高齢者でも、回数を十分にこなせば、軽めの重さで持ち上げる力(筋力)はしっかり伸びる可能性がある。
  4. 04厚生労働省は筋トレを週2〜3日勧めていて、自分の体重を使う筋トレも含まれる。

References出典・参考

  1. [1]Schoenfeld BJ, Grgic J, Ogborn D, Krieger JW. Strength and hypertrophy adaptations between low- vs. high-load resistance training: a systematic review and meta-analysis. J Strength Cond Res. 2017;31(12):3508-3523.pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  2. [2]Lopez P, et al. Resistance training load effects on muscle hypertrophy and strength gain: systematic review and network meta-analysis. Med Sci Sports Exerc. 2021;53(6):1206-1216.pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  3. [3]Csapo R, Alegre LM. Effects of resistance training with moderate vs heavy loads on muscle mass and strength in the elderly: a meta-analysis. Scand J Med Sci Sports. 2016;26(9):995-1006.pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  4. [4]厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(令和6年1月)mhlw.go.jp

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。